2007年3月25日 日曜日
第三者視点(主人公より)
さすがに、主人公視点ばかりだと表現が狭まる可能性があると思い、
第三者視点(主人公を主点に説明するタイプ)に挑戦してみました。
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彼の日常は、日が昇らない朝早くから始まる。
時間帯で言えば、5時前後といったところだろうか。
時計の針はまだ5時前を指しており、目覚まし時計が鳴き出す時間にはまだ若干の余裕がある。
「えーっと、今日のスケジュールは・・・」
いつものように、目覚まし時計に起こされるより早く目を覚ました彼は、一度目覚まし時計に目を向けて、いつもの時間に起きられたことを確認し、目覚まし時計のとなりに置かれているスケジュール帳を手に取った。
黒いカバーで覆われた機能性重視のスケジュール帳は、いかにもビジネスマンといった感じであるが、彼はビジネスマンではない。
彼の名はタカシ。農業技術者である。
早起きはなかなか大変な作業だと、世間一般では考えられているが、田舎生まれで、昔から家業である農業を手伝ってきた彼にとっては、別段大変な事でもなかった。
朝早く出荷する事で、味がいっそう深まる野菜だっていっぱいあるのだ。
「寒っ!さむ!」
季節は冬。縁側を靴下一枚で歩き、足のつま先から冷えてくる感覚を味わいながら、彼はそう言った。
そして、言ったそばから、吐息が真っ白に染まる。
彼は何気なしに、空に目を向けた。
雲ひとつ浮かんでいない空は、まだ日は昇っていないものの、空は既に白み始めており、日の始まりがもうすぐ来ることを伝えていた。
「さてと」
そういった彼は、眠気を完全に飛ばすため、洗面所に足を向けた。
キッチンでは、タンタンタン、と包丁の音が響いていた。
なにも、早起きしているのはタカシだけではないのだ。
「・・・・・・」
無言で料理をする若干19歳の少女、名前をかなみ、という。
料理の腕はかなりのものであり、それは昔から料理を作り続けた賜物であろう。
今、作っている朝食は、かなり平凡なものだが、味はきっといいに違いない。
「かなみー、おはようー」
料理をしているかなみの背中に、若干間延びしたタカシの声がかかる。
かなみは両手を動かすのを止めずに、ちらりとタカシのほうを見た。
「おはよう。目覚めた?」
「ああ、ばっちりな。というか寒すぎて目が覚めた」
「寒波が来てるからね」
「どうりで冷えるわけだな」
タカシはそう言うと、石油ファンヒーターの近くに置かれたイスに腰を下ろした。
ファンヒーターの設定温度は16度と低めになっていたが、それでもキッチンの外と比べればずいぶんと暖かく、少しの移動ですっかり冷えてしまったタカシをほどよく温めていく。
熱風の吹き出し口の前に手をかざしながら、彼は視線をかなみへと上げた。
かなみの背中には漆黒の長髪が一つに結ばれていて、それが彼女の動きに合わせ左右に揺れている。
いつもの光景だが、タカシはこの左右に揺れる髪が面白いらしく、にやにやと笑みを浮かべた。
「かなみ」
「何?」
「・・・呼んでみただけ」
すると、かなみはあからさまに肩を落として、タカシのほうを見た。
「あのねー、私に構っている暇があったら、勝美姉を起こしてきてよ」
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サンプル的に書き上げた感想ですが、なかなか難しいな、と。
私的には、主人公の内情を直接説明する書き方のほうが、敷居が低いような気がしました。
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「やっほー、タカシー」
そんな能天気な声がして、彼は何事かと振り返った。
げ、か、かなみ・・・
「あ、今へんなこと考えたでしょ?逃げようたって逃がさないんだからっ♪」
やばい、ここは逃げよう。今日こそエスケープだ。距離はまだ10mある。全速力で逃げればっ!
彼はそう考えて、一気にダッシュした。
「エスケープ!!」
だが、今は、下校時間の廊下だ。
生徒が多く、下手をして相手にぶつかってしまえば怪我を与えかねない。
避けながらダッシュを試みるが、こういった状況では体が小さく小回りが利くかなみのほうが有利だ。
あれよあれよという間にかなみとタカシの距離は縮まっていく。
「また始まったよ」
「毎回毎回、懲りないねぇ」
「やっぱすごいわなー、かなみさん。世の中見てもあんなタイプは絶対居ないな」
そんな会話が、あたりで交わされる。
そのぐらい、このやり取りは恒例と化していた。
俺は、熊に追われるうさぎであろうか。・・・いや、どちらかといったら鷹に狙われたネズミだろうな。
そんな事が彼の頭をよぎった瞬間、前の生徒をよけるために減速していたタカシにかなみがぴょーんと抱きついた。
「にゃはー、つかまえたぞー」
かなみはそう言うと、タカシの足に自分の足を絡ませ、がっちり固定した後、すりすりとタカシの胸に頬ずりをはじめた。
「か、かなみ姉・・・こ、ここは学校ですが・・・」
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といったような。
あくまでサンプル文ですが。
まあ、どちらにしろ、やっぱり長年書いてきた主人公視点が私にとっては(今のところ)ベストなのは間違いないようです。
今回書き上げたものより、もっと形式ばった、たとえるなら、海外小説の翻訳版、のような書き方にもチャレンジしてみたいです。
2007年3月19日 月曜日
自称"キムチ鍋"氏がキムチ鍋を食しにやってきた。
先日、BBSネーム、キムチ鍋氏が我が家にやってきました。
私が連れてきたのですがね。
ちなみに、"キムチ鍋"という名は、直前に食した鍋から突発的に考えたようです。
おそらく意味はないことでしょう。
自身のネームに突発的に考えた"キムチ鍋"なんてつける位ですから、彼はかなりユニークです。そうとうやんちゃです。
唐突に歌いだしたり、踊りだしたり、訳が分からない台詞を言ったり(、時には奇声を発したり)します。
では、そんな彼が我が家の白ボードを目にしたらどうなるか。
考えるだけでもちょっと「うーむ」ですが、やはりやってくれました。
ででーん!

(我が家の白ボード Wrote by Mr.Kimuchi-nabe.字でかっ!)
左上の丸で囲ったもの(書いた時期不明)と、SELENE-PROJECT(昨年11月ごろ記)、
さらにその右どなりにある4行(2月末記)の落書きは私によるものですが、
右上のS(剣士)氏による落書きを除き、BBSネーム"キムチ鍋氏"が書いていきました。
まあ、彼自身、「トルコにこるととるこんぶ」と(あと一つどれか(忘れた))は、「訳が分からん」と言っておりましたが、
どちらにしろ、破壊力が高い事に変わりはありません。
ですが、真面目なときには、とことん真面目で知的な彼は我が家で「博士が愛した公式(映画)」を見た後に、オイラーの公式を書いていき、
さらに、「(博士が愛した公式の映画は、)一回見ただけじゃ理解できないから、後で本かって読む」とも言っていました。
ええ、すごい人はいるものですよ。
思考ルート
たまに、サイトのリンク確認も兼ねて、数年前の日記帳を見たりするのですが、
若いねぇ、青いねぇ、と思わされます。
きっと、今書いている文も、数年後見たら今思っている事と同じように感じるのでしょうが、
それにしたって、考え方が若い。
やはり、昔に比べると、落ち着いてきている感はありますね。
まだまだ、年上の人から見ると子供に違いは無いと思いますが。
宇宙系SFのSS
SF:サイエンス フィクション
ですが、
SF:スペース フィクション
と、略したりする事もあるようです。
で、それはさておき、数日前から宇宙系のSSでも書くか、と思っていたのですが、どうも面白くならない事に気がついた(私の思考では)。
宇宙系のアニメやらライトノベルでは、どうも誇張表現、物理を超えた技術、というのが多く、
ちっこい姉ちゃんがボデーラインが分かるぐらいのうすーっぺらい宇宙服を着て宇宙遊泳をしたり、
軌道上で、スペースデブリ(宇宙ごみ)を撒き散らす戦闘をしたり、する場合が多いように感じますが、
それは、そういった表現をしなければ面白くないのではないか、と考えました。
宇宙のような憧れを持ちやすい対象に、夢やロマンやらを当てはめ、理想を再現するならば、
理想という、非現実を追い求める以上、物理的に適わないものを無視しないと、美しくないし、かっこよくない。
実際に宇宙空間で、そういった偽科学的な技術を持ち込むとどうなるか、はこの際置いておくとして、
技術に興味をもち、その延長線上の技術に興味を持ち、JAXAのロケットM-Vの第三段ロケット分離のシーンを見て、「すげー」と、騒ぐ私としては、どうしても"技術"に"偽科学"を持ってこれない。
すると、どうしても分かる人にしか分からない小説やらSSやらが出来上がってしまうのです。
まあ、いったん書いてみようとは思ってはいます。
今頭にあるSSだと、オチはどこ?になってしまいますが。
2007年3月14日 水曜日
8,888HITS!
ついに、8,888HITSを達成しました!
まあ、
私が踏んでしまったのですけどね。
偶然って恐ろしいなと思いました。
あと、思い込みって、よくないですよね。
私自身が踏んでしまった記念、という訳でもないのですが、SS Vol10を近々UPしたいな、と考えています。
SSの内容などは、全く考えていないのですが、おそらく、勝気なツンデレが出てくるかと。
ホワイトデー
ふと思ったのですが、バレンタインデーの存在を全く知らないで当日を迎える男はいるのでしょうかね。
テレビを見てれば否応なしに、バレンタインが騒がれているのが分かるでしょうし、街に買い物に出れば、1月からバレンタイン商戦ですよ。
「あ、そういえばバレンタインだったなー」
はあったとしても、SS vol9のような、すばらしい男はなかなかいないと思います。
持論の義理チョコ論のように、
「ねね、タカシ君ー♪これあげるっ」
「あ、ありがとうございます」
「あ、私からも。言っとくけど義理だからねー(笑」
「すいません。本当に」
「タカシー、ほら、これやるよ」
「お、おい、投げるなって」
って、感じでもらいたいものです。
で、今日はホワイトデーであります。
カレンダーを見て、ふと思い出しました。
皆さん如何でした?
カテゴリ
友人J氏に言われて、思ったのですが、
この日記の内容をカテゴリ別に分けるとどうなるか、真剣に考えてみました。
1.管理人の日常、近況 (例:友人が我が家にやってきた。タイヤ交換、恐怖のカンヅメ、新しく商品買った!など、実際にあったこと)
2.管理人の思考 (例:各種小言、神様について思うこと、など管理人が思ったこと、考えている事)
3.技術系 (例:Ni-MH、多画素化CCD、などの技術に関する紹介)
4.時事系 (例:H-IIA打ち上げ、建国記念の日)※最近は少ないような・・・
5.HPに関して (例:新作情報、SS Vol11 「勝気な巫女さんその名は鷹美!」など)
6.コラム系 (例:ツンデレとは? 覚えておきたいショートカットキーなど、豆知識系)
こうやってリストにしてみるとなかなか難しいものです。
3.技術系と6.コラム系は半ばクロスしているような気がしますし、
1.日常と2.思考、も考え方によってはクロスしています。
・・・再考察の必要がありそうです。
友人S(剣士)氏再び。
先日、友人S氏が再び我が家に降臨しました。
まあ、私が連れてきたのですがね。
で、「またボードに落書きをしたい」と言っていた彼は、今回も迷うことなく落書きをしていきました。

(彼が望むラジオ進行表 Ver2)
内容は見ての通りなのですが・・・ネタが理解できない!
さらに、友人S氏が「関連性がある。分かる人には分かる」なんて言いだすものだから、ますます理解不能に。
まあ、最後に一通りの説明を受けまして、ああ、なるほどな、と納得できた訳なのですが、ネタが新しすぎです。
常にワンテンポツーテンポ遅れて後を追う私には、2007年発売品ネタは理解不能でした。
雪が降りました
今年は暖冬、という事で都会のほうでも雪は降らなかったようですが、
私の出身地もいくら北国とはいえ、例年に比べると全く雪は降っていないようでした。
地元の新聞にも
「平均積雪量1cm最大積雪1cm」
と1面にそう書いてありました。
ああ、今年は雪を拝めないのか・・・と思って私はその新聞を読んでいたのですが、
急な変化、というのはやはりあるもので、その新聞が届けられた日の夜から、雪がわっさわさと降り始めました。
しかも、その日は友人S氏が私の家で落書きをしていて、その彼を彼の自宅まで送り届けなければならない。
この雪の中!
ましてや、私は雪道で車を運転した事が無い。
ですが、雪道こえー、こえー、などと騒いでいるだけで運転をしないのなら、いつになっても進歩は無いだろうし、
ましてや北国出身の手前、雪道の走り方も知っておかないと、帰郷するときとか、いろいろまずい。
それに、何かの本で「ABSは思っている以上に利かないから、利きを体験しておいたほうがいい」と書いてあるのを読んだことがあるので、
運転できるうちに運転しておかねば、と思い、若干ためらいながらも、初の雪道運転を経験したのでした。
いつもの2倍以上の時間がかかりましたが、とりあえず無事に彼を家まで送り届ける事ができたので一安心でした。
そして、翌日、雪がもっさり積もっていました。

(ねこの足跡 午前6時半ごろ)
2007年3月11日 日曜日
H-IIA 12号機
しばらくおそくなりましたが、
先月の24日、HII-A 12号機(H2A2024タイプ))が、打ち上げられました。
そして打ち上げ23分後までに、衛星を所定の軌道に投入し、打ち上げは成功。
さて、今回打ち上げた衛星は、政府の情報収集衛星レーダー2号機、と光学3号機実証衛星でした。
このレーダー衛星2号機の打ち上げで、情報収集衛星は本来想定されていた4機体制になり、
ようやく、地上のすべての任意点を、最低1日1回、天候にかかわらず観測できる事になります。
しばらくの間は、動作テストなどで本格運用には入らないと思われますが、
今回、念願の4機体制が整った事で、情報収集能力が格段に上がるのは間違いないでしょう。
ちなみに、一緒に打ち上げられた、光学3号機実証衛星は、光学3号機の為の性能チェックなどを担う"実証"衛星で、光学3号機ではないらしいです。
本当の光学3号機は2009年に打ち上げを予定して、最大分解能力は今までの光学衛星の1〜3mから40cmまで能力が向上されるとか。
情報収集衛星の情報収集力が、日本の政治判断にどれだけ影響するかはよく分かりませんが、
とりあえず、H-IIA 12号機の打ち上げが成功した事が私にとってはうれしい限りです。
2007年3月10日 土曜日
Ni-MH Battery
この前、ニッケル水素乾電池のことについて云々書きましましたが、
今回は、充電完了後の電圧についてちろっと測定してみました。
ちなみに、電池容量を表すAhですが、
これは、1時間、何アンペアの電流を流せるか、といった単位です。
つまり、2700mAhのニッケル水素乾電池があったとすれば、
2700mAの電流、つまり、2.7Aの電流を1時間流せるという事です。
まあ、あくまでも計算値であり、1分間なら162Aもの電流を流し続けられる訳では無いのであしからず。

今回、使ってみた電池は、
左から、
SANYO HR-3UF 2500mAh
SANYO HR-3UTG 2000mAh
DLG BATTERY HR11/45 900mAh
です。
一番左側の電池(白と青)は、2005年の11月(日記参照)に購入したもので、それなりに使っています。
真ん中は、この前ご紹介した、eneloopです。電池容量自体は、若干少なめです。去年の夏ごろに購入した品です
右側の単四電池は、この前秋葉原に行ったとき、MP3プレーヤー用に購入してきたあまり高くなかった電池です。
本当であれば、テスタや何やらを使って、1時間以上掛けて電池の性能をチェックしたかったのですが、
設備も装置も無いので、とりあえず充電器の表示機能を使い、充電後の電圧だけ調べる事にしました。
まず初めは、

(SANYO HR-3UF 2500mAh。電圧は1.35V)
ちなみに、充放電を30回以上繰り返しているので、若干電圧が低くなっている可能性があります。
次は、

(DLG BATTERY HR11/45 900mAh)
最近は中国製の電池も出回っているようで、この電池も中国製でしたが、思いのほか電圧は高かったです。
最後に、

(SANYO HR-3UTG 2000mAh。eneloopです。)
開発陣が、「電圧が高く出るようにした」と言うだけあって、1.51Vもの電圧がでています。
DLGの電池より使っているのにもかかわらず、この電圧。
さすが、と言ったところでしょうか。
というわけで、今回は"充電後の電圧(初期電圧)"を紹介しましたが、一つ二つ注意してほしい事があります。
まずこの電圧は、放電してない時の電圧、であるという事です。
電流を流すと、電圧はそれなりに低下します。
さらに重要なのは、初期電圧が、電池性能のすべてを表すわけではない、という事です。
つまり、初期電圧が高くても、電圧の低下が早い電池や、逆に、初期電圧が低くても電圧の低下が遅い電池などもある訳です。
また、500回繰り返して使えると謳っているものでも、実際はそんなに使うと、容量が少なくなり、実用に耐えがたくなる、という事もあると思います。
たかが電池ですが、されど電池です。
なかなか、面白いものだと私は思っています。。
2007年3月9日 金曜日
あさなぎSS Vol9 RefineVer. 「バレンタインとツンデレかなみ」
前書き
お待たせしました。
ついにVol9がリファインされて帰ってきました!
まあ、リファインといっても、手をつけていないところは全く手をつけていないので、あまり面白くは無いかもしれませんが、
後半部分は結構変わっているので、前にアップしたときよりも、かなみの心情が若干分かりやすくなっているかな、と思います。
今回のリファインにあたり、やっぱり書きづらさが足を引っ張りました。
足を引っ張る要素が何なのかよく分からないのですが、その一つに、
主人公タカシは、控えめかつ素直な性格で、かなみにあまり突っかからない。
↓
タカシが大人しい為に、かなみがツンツンするポイントが創作しにくい。
↓
さらに主人公視点のため、かなみの内情が表現できない(またはしにくい)。
というものがあるかと思います。
ようは、いつも書いているツンデレであれば、主人公がヒロインを煽るために、ヒロインのツンツンが目立って、デレが生きてくる訳ですが、
今回のタカシは大人しいが為に、連鎖が発生しない、と。
ちなみに本編文字数ですが、10,135文字でした。
つまり、原稿用紙約25枚枚分という、SSでは収まらない長さにっ!
あさなぎSS Vol9 RefineVer. 「バレンタインとツンデレかなみ」
いつもと同じように登校し、教室に入るとどことなく普段と空気が違う気がした。
思わず、出入り口の所で足を止めてしまう。
「・・・」
ぱっと見、みんないつもと同じだ。
「・・・?」
とりたてて変化は無いと思う。
だが、こう、言葉では表現するのが難しいが、なんというのだろう、変な感じがする。
そう、この感覚を強いて言うなら、
「悪い予感」
ではなかろうか。
「悪い予感、ってなにさ?というかいつまでそこに突っ立ってるつもりよ?」
クラスメイトの山田からそう声をかけられて、我に返った。
どうやら、しばらく出入り口に突っ立っていたらしい。
「あっと、いや、ちょっとな」
だるそうな感じに席に座り、声をかけてきた山田の問いにそう答えながら、自分の席に座る。
「何が、ちょっとなー、だよ、朝っぱらから湿気た面しあがって、湿気りたいのはこっちだっての」
山田はそう言って、ぐだーっ、と机に突っ伏した。
「あー、なんかテストとかあったっけ?今日」
そう俺が言うと、山田はすたっ、と上体を起こした。
「無いよ!無いよ!ぜんぜん無いよ!微塵も無い!くそう、いっその事、今日なんて、今日なんて、休みだったら良かったのさ!!」
山田は一通りおおげさな動作をつけてそう騒ぐと、再び机に突っ伏した。
「おい、なんだってんだ。山田?」
「・・・」
「・・・除湿剤ほしいか?」
「・・・」
だめだ。まったく反応が無い。
すっかり陸に揚げられたクラゲのごとくなった山田を見つつ、今日は一体何があるんだ?と考えてみる。
テストか?いや、山田はそんなものはない、と騒いでいた。
休みだったらよかった、といっていたぐらいだから、奴にとっていい事が無いのは確かだが・・・
だめだ、さっぱり分からん。
「わからんなー」
腕を組み、背もたれによりかかってみる。
すると、背中をバシッ、と叩かれた。
「いでっ!」
「おはよー」
そして聞こえてくるいつもの声。振り返るまでも無く、背中を叩いた本人が姿を現れた。
「お、かなみか」
おはよう、と手を上げて返す。
「何?何かあったの?腕なんか組んで、難しそうな顔して」
そう言いながら、かなみは自分の机にかばんを置いた。
声の主は、俺の前の席に陣取るかなみだ。
活発で、単純明快タイプ。誰にでも好かれる身長161cmの女性。
まあ、クラスには必ずいる・・・という訳でもないだろうが、絶対に一度は見かけたりするタイプだ。
ちなみに、このかなみとはここの学園に入ってからずっと一緒のクラスで、なぜか知らないがいつも席は近く、席が替わるたびに、またあんたか、といったような顔つきをする。
嫌われている様子も無いので、よしとしているが。
とまあ、そんな説明的説明はいいとして、いつものように席に着いたかなみについさっきまでの事を説明した。
「―という訳で、今日一体何があるのかと考えていた」
そう言って、ちらっ、と山田に目を配る。
山田はまだ、陸に上げられたクラゲ状態になっていた。
いい加減に戻ってきてもいいと思う。
「タカシー、今日は2月14日よ」
「14日?建国記念の日なら11日だぞ?」
「・・・あのねー」
「なんだ?建国記念の日も知らないのか?」
「建国記念日ぐらい知ってるわよっ!そうじゃなくてー・・・」
「いや、ちなみに、"建国記念日"ではないぞ。建国記念の日」
「・・・」
「・・・」
「・・・はぁ。もうちょっと周りを見てみたらどう?」
顔を手で覆って、やたらと疲れたような顔をするかなみ。
「どうした?」
「あんたねぇ、バレンタインも知らないの?」
「あ」
バレンタイン、と言われてようやく気がつく。
そういえば、今日、2月14日はバレンタインデーだった。
確かに、街ではいろいろとキャンペーンやらなにやらで賑わっていたと思う。
「あ、じゃないわよ。・・・もう、乙女にとっては大切な日なんだから」
「いや、存在は知っていた」
ただ、14日と結びついていなかった。
そして、今日の日付も何日だか分からなかった。
「知ってるだけじゃダメでしょうが」
確かに。
「ちゃんと頭に入れておきなさいよね。送る側だって大変なんだから」
かなみは少し強い口調でそういうと、背中を向けて友達のほうへと言ってしまった。
そうか、今日はバレンタインか。
どうりで、クラスの雰囲気が違うと思った。
「―えー、というわけで、この事象はそういった形で語られるようになり以後―」
なるほどなるほど、と先生の話に耳を傾け、ふむふむ、とノートに重要と思われる事を書き取っていく。
この先生はテストに出るところが分かりやすいからありがたい。
そんな事を思っていると、かなみが心持ちイスを後ろに倒してきた。
このモーションはと思い、すこし身を乗り出す。
「なんだ?」
「何言ってるかわかる?」
かなみにしか聞こえないぐらいの声で言うと、かなみも同じぐらいの声量で返してきた。
先生に見つからないように注意する為、視線だけは教壇上から外さないようにする。
今、かなみとの距離は20cmすらない。
柑橘系のいいにおいがするけど、この際不埒な事は一切考えないようにする。
「―えー、彼はこの考え方について異論を持っていたわけですが―」
先生がカツカツ、と黒板に何かを書き始めた。
「何言っているかって?そりゃ日本語だし分かるよ」
「そうじゃなくて、内容の事」
そう言われてから、たしかにそんな当たり前の事聞かないよな、と思った。
「結構興味深いと思うぞ」
話の概要を知っているから、理解しやすい、という事もあるだろうけど、純粋に面白いと思う。
それに、話の間に入る豆知識みたいなのもなかなか興味をそそる。
「私はあんまり分からないな」
「そうか?」
「そうよ。それに、この授業って進学に関係ないでしょ?」
確かに。センター試験や大学の2次試験などではあまり問題にならないだろう。
「それなのに、テストが難しくて難しくて」
かなみは推薦狙いと言っていた。
だから、普通に授業をしていればテストで合格点をもらえるものでも、その上を行かなければならない。
下手に評定平均を落とすわけにはいかないからな。
きっと、かなみは、その事を言っているのだろう。
「出題される範囲が広いからだろ?」
「うん、そう」
「でも、科目が好きだと、出るところが分かるんだよ」
変な志向でも持っていない限りどの先生も、ここを出す、というポイントが確かにあると思う。
そして授業を聞いていれば、さらにポイントを絞り込むことが出来る。
まあ、山張りのようなものだから、失敗したときのダメージは大きいけども。
「なんとなくだけど」
「じゃあ、後で教えてよ」
かなみはさらっと言った。
どうしようか。人に教えるのは苦手なんだけども。
んー、と数秒考えてみる。
かなみの進学がかかっている訳か。
「・・・山を張れそうなポイントぐらいなら」
「そう、・・・・・・その、ありがとね」
かなみは、いつもの姿勢へと戻る際に、少しだけこっちを向き、そう言った。
キーンコーンカーンコーンー♪キーン・・・・・・♪
ようやく昼休みになった。
きっと俺を含めこの学校の皆にとってかけがえの無いひと時に違いない。
それにしても、やはり古文の授業は理解に苦しむ。そして眠くなる科目のベストオブだな。
そんな事を考えながら、教科書やらを机の中へ片付ける。
「かなみー、茶道室いこ!」
「あ、うん、分かった」
目の前ではそんな会話が交わされていた。
そして、ぱたぱた、と小走り気味にかなみが教室を後にする。
女子の一部はいつも茶道室で昼食を取っているらしい。
まあ、確かに教室よりは落ち着けるだろう。
「ふわぁぁ〜・・・・・・あ」
気がつくと、大きな口をあけて欠伸をしていた。
あわてて口をふさぐ。誰かに見られてないだろうな。
きょろきょろ、と周りを見回してみて、とりあえず問題がなさそうなのを確認し、ふぅ、と息をつく。
「タカシ、今日は弁当か?」
「うわ!」
背後から急に声をかけられて、思わず変な声が出た。
「うわ、じゃないっての」
後ろを振り向くと、山田が少しあきれたように突っ立っていた。
さっき見たときには誰もいなかったはずだぞ。
「んで?弁当?」
「あ、今日?弁当だぞ」
「む。・・・・・・じゃあ、売店まで付き合え」
じゃあ、って何だろう、じゃあって。
だったら聞くなと言いたい。
山田と売店までの廊下を歩く。
「お前とかなみちゃんって、仲いいよな」
「そうか?」
「授業のときいつも、ひそひそと話してるじゃないか」
そう言われて、先のかなみとの会話を思い出す。
「ああ、あれか?どちらかというとビジネスの話って感じだし、かなみが仲いいのは俺だけじゃないだろう?」
かなみはクラスでも人気者だ。誰とでも仲良くできるし、昼時は今日のように、茶道室に行ったり、みんなで食堂で食べたりしている。
授業の合間だって、かなみの回りには常に誰かいる。
だから、俺が口を挟めるような隙はほとんど無い。まあ、それでも、話が出来るときはいろいろと話をしたりはするけれど。
「何言ってんだか。かなみー、タカシー、って呼び捨てにしてるくらい仲いいだろうが」
そういうものなのか?
「で、タカシよ」
昼、ちょうど俺が昼食を食べ終わるかといった頃、一足先に焼きそばパン、コロッケパン、ソーセージパン、プラスカフェオレを食べ終えた山田がそう切り出してきた。
「ん?」
「今年は何個ぐらいを予定している?」
「なんのこった?」
「チョコだよ、チョコレートだよ!ちなみに50円以下のチョコは含まないでな。お情けでもらっても嬉かないし」
というか、朝のあの状態になるほどこの話題がいやなはずなのに、なぜ話を振る?
「どうだろう?」
「ちなみに、俺は0個になるのを期待している」
「それはいつものことだろ?」
「違う!違う!俺のことじゃないっ!Taka-shiがもらうChocolateの数を言っているんだ!」
オーバーな身振りを付け加え、タカシとチョコレートのところだけ英語っぽい発音をする山田。
「唾飛ばすな。俺がもらえないのを期待するな」
「タカシもあれか?チョコレイトもらいすぎて困るわぁ、っていうタイプか?それとも、ホワイトデーがめんどい!とかいうタイプか!?ちなみに俺は義理すらもらったこと無いから別にどっちでもないがね!!がっはっは!!ちっ、チョコレートブルジョアジーどもめ!」
聞いちゃいねぇ、この男。
「しょうがねぇなあ、ほれ、これやるよ」
そう言って、かばんの中から緊急栄養補給用のチョコレートを取り出して、山田に手渡す。
遅刻しそうで朝飯とか取れなかったときとか、体育で疲弊したとき食べる為に、いつもかばんの中に入っているチョコだ。
この前近くのスーパーで安売りしていたから、箱買いしたやつで、10個入って760円だった。安い安い。
「って、板チョコじゃねぇか!」
「そうだぞ。チョコレートの定番だぞ。美味しいぞ」
「味はどうでもいい!ただ!男から貰っても嬉しくないわいっ!」
分からなくは無いが。
「なんだ、いらんのか?」
「いや、貰う!」
ちなみにその後、昼休み中にクラスの女の子から3つほどチョコレートを頂いた。
同じ委員会、同じ部、かなみの友達、とどの子もよく話をする間柄だ。義理とは言わなかったが、おそらく義理でまちがいはないであろう。
山田は、俺がチョコを貰うたびに遠くのほうから殺気に近いような視線をこっちに送り、その後泣きそうな顔をして机に突っ伏す、という行為を繰り返していた。
山田、お前もいつかは報われるだろう、きっと。
そういえば、かなみはチョコをくれるだろうか。
放課後、担任に呼ばれていたので、職員室に顔を出した。
石油ファンヒーターがガンガン炊かれている職員室の中で、明日配る自習のプリントの事について説明を受けた後、先生たちと下らない雑談を交わし、体が暖かさで満たされた頃を見計らい職員室を後にした。
「といっても、もう熱が逃げてしまった」
2月の半ばといっても、まだまだ冬。息が真っ白に染まり、空気が肌を刺す季節だ。
さらに北国ときたものだから、2階の職員室から昇降口に着く前に、職員室で取り込んだはずの熱が全部逃げてしまう。
寒い寒い思いながら、靴を履き替えて、校舎を後にする。
これだったら、日が沈む前に学校を後にしたほうが吉だっただろう。
「タカシ!」
昇降口を出たとたん、そう声がかかった。
「ん?」
振り返ると、昇降口前から、かなみがたったっ、と近づいてくる。
「かなみか。どうした?」
「ん?ちょっとね。今日は、もう家に帰るの?」
「ああ。今日は寄り道しないで帰ろうと思っていたけど。なんか冷えてきそうだし。かなみは?」
「うん。私もこれから帰ろうと思ってたところ」
「一緒に帰る?」
そう言うと、かなみはいつものように俺の隣につく。
少し歩き出して、ふと隣をみると、かなみの頬がいつもより赤く染まっている事に気がついた。
どうやらしばらくの間、外にいたらしい。
「なんでまた外にいたんだよ?」
「べ、別に。風に当たりたかっただけ」
かなみはこちらに視線を向けることなく、そう言った。
「そうかい」
かなみと県道沿いの脇道を取り留めの無い話をして歩く。
クラスメイトの話、部活の友達の話、先生の変な趣味の事などだ。
でも、今日という日にもかかわらず、チョコの話は意図的に避けていた。
一つ、「チョコは無いの?」と聞ければいいのに。
そうこうしているうちに、かなみの家についてしまう。
「また明日な」
「その、・・・・・・」
「どうした?」
「ううん、また明日!」
かなみはそう言って、玄関先で軽く手を振ると家の中へと消えていった。
これで、俺のかなみを家に送り届ける、という任務は終了した訳だ。
あとは帰って、コタツでみかんでも食うか。
「さてと、帰ろ帰ろー」
寒くてたまらん。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・はぁ」
足を10歩ほど進めた所で、なぜかため息が出た。
なんだかなぁ。
いや、なぜか、では無い。
自分で、なんでため息が出るかぐらい分かっている。
14日という今日は、世間で言うバレンタインだ。
実際、3個もチョコを貰えたし、別に不満があるわけでもない。
でも、かなみからチョコを貰えなかったのは、意外だった。
去年は「義理だから!」と明言されて渡されたものだったが、それはそれで、嬉しかったし、今年もくれるかなぁ、と思ったらそうじゃなかった。
まあ確かに、かなみ言われるまで、今日がバレンタインと言う事に気がついていなかったのは悪いとしよう。
でもなぁ、友チョコという言葉があるこのご時勢に、その友チョコすらもらえない俺は一体なんなのだろう?
ついにかなみにとっての、”義理”の存在からも転落してしまったのか?
かなみの手作りチョコは美味しかったし、それにかなみの事も・・・
「いや、なんでもない」
ま、忘れよう。
たかがバレンタインだ。
それに、義理とはいえ、綺麗にラッピングされたチョコ貰ったし、コーヒーでも飲みながら頂きますか。
「うー、寒っ」
ひゅぅ、と冬の風があたりを通り抜ける。
ふと、空を見上げると、雲ひとつ無い空に満月から少しかけた月が浮かんでいた。
放射冷却で冷えるだろうなぁ、今晩は。
夕食も食べ終え、居間のソファーで横になっていると、ピンポーン、とインターホンがなった。
出てくれる?との親に言われて、玄関に出る。
「はいはーい」
今の時間に来客とは珍しい。どちらさんだろうか。
親父は今、風呂に入っているから、仕事関係だと待ってもらう必要があるぞ。
そんな事を思いながら、ガチャッ、とドアを開けると、そこにいたのはなんと、かなみだった。
「か、かなみ!?」
「こんばんは」
意外もいいところだ。まさかかなみがやってくるとは・・・
「またこんな時間にどうした?宿題か?なら教えてやらんぞ?」
「違うわよっ!・・・・・・これ、渡しに来たの」
かなみは少しぶっきらぼうにそう言うと、俺に両手を出させて、その上に白い紙袋を乗せた。
ちょっとした重量感が両手にかかる。
これは?という顔でかなみを見る。
「ケーキよ。その、ケーキぐらい女なら焼けないと、と思ったから、その試作品」
「え?かなみが作ったの?」
紙袋の中を覗き込んでみる。
もちろん、ケースの中に入っているようで、外からは様子を見る事はできない。
でも、きっと料理好きなかなみが作ったものだ。出来はいいに違いない。
「もちろん。私特製!ありがたく思いなさいよ!」
「ああ、わざわざありがとな。・・・っと、上がってくか?お茶ぐらいなら出せるぞ」
そう言って、上がるのに邪魔にならないよう体を少し引いたが、かなみは顔を横に振った。
「ほら、時間が時間だし。お邪魔しても悪いから」
遠慮するなど、なんてかなみらしくない。
「遠慮しなく―」
と言いかけたところで、少し考えた。
かなみを家に上げたら、さぞ向こうのご両親が心配するに違いない。
愛娘が知らない男のところに行って、予定の時間より遅れて帰ってくるのだ。
それに、時間が時間という事もある。
「―あ、いいや、一人で来たんだろ?送ってくか?」
「いいよ、そんな遠くもないし」
かなみは胸元で小さく手を振って、否定した。
「そうか?」
「うん」
そんなに大きな街ではないとはいえ、何があるか分からないぞ。
「・・・」
「・・・・・・その、今日渡す事になったのはたまたまだからね!たとえ、バレンタインのだったとしても、義理だから!」
「分かってるよ。義理だろ」
熱心に否定するかなみの姿に、思わず苦笑いを浮かべてしまう。
ようは、義理ってことだ。
「絶対に本命なんかじゃないから!その義理・・・・・・」
そう言ったところで、かなみは急に俯き黙り込んでしまった。
「どうした?」
「ごめんなさい・・・その・・・」
「何がだよ?義理なのは分かったって」
ははは、と半ば乾いたような笑いがでた。
「・・・・・・違うの」
「・・・」
「・・・・・・・・」
冗談なんか言えないような空気が流れる。
かなみは俯いたままで、全く表情が読めない。
「・・・その・・・さっきのは嘘」
「嘘って?」
「・・・あのね・・・」
かなみがゆっくりと顔を上げる。
瞳が見た事無いぐらい揺らいでいた。
「・・・」
「・・・義理なんかじゃないからね。気持ちこめて作ったから・・・試作品なんかじゃないから・・・私、タカシの事好きだからっ・・・!私の事嫌いにならないでね・・・・・・・・・うぅ・・・うっ」
かなみはそう言うと、ぼろぼろと泣き出してしまった。
涙の雫が玄関のコンクリートにぽたぽたとシミを作る。
慌てて手に乗っかったままの紙袋を足元に置いてかなみに駆け寄る。
「お、おい。どうした?嫌いになるって・・・いつそんな事言ったよ?」
かなみは俯いていて、まったく表情が分からない。
そして、女の子に泣かれた俺は一体何をどうすればいいのか全く分からない。
それでも、無意識のうちに手がかなみの肩に伸びていた。
でも、かなみはその手をするりと抜けて、あろうことか胸に抱きついてきた。
着ている服の胸元をぎゅっとつかまれる。
お、おい、かなみ・・・
「・・・・・・やっと言えた・・・やっと言えた・・・・・・好きって・・・」
10分ぐらい経って、かなみはようやく泣き止んだ。
服をずっと握っていた手を離し、俺から少し離れる。
「その・・・ごめんね・・・・・・変な事言って」
かなみは俯き加減でそう言った。
前髪の合間から見える瞼が赤く腫れている。
「いや、別にそんな事・・・」
もうちょっと気の利いたこと言えればいいのに、と思う。
かなみが泣いていたときも、何をすればいいのか、何を話せばいいのか分からず、ただかなみの肩に手を乗せていただけだった。
自分の不甲斐無さが恨めしい。
「・・・急に言われても困るよね」
別に困ってなんかいない。
好きって言ってくれて、本当に嬉しい。
ただ、あまりに予想外で、全く頭が回っていない。
あの、皆に好かれるかなみが、俺に好意を寄せてくれるなんて、にわかに信じがたい。
席が近いから、暇つぶしに構ってくれているんだろう、程度にしか考えていなかったから。
「明日は・・・」
かなみは顔を上げると、片手で前髪を掻き分けて、いつもの笑顔を浮かべた。
ただ、どことなく違和感を覚えるのは、赤く腫れた瞼のせいだろうか。
「・・・明日は、普通に会おうね。その、ごめんね、出しゃばっちゃって。やっぱりクラスメイトでいたほうがいいよ」
「それって、どういう・・・」
「ごめんね・・・!」
どういう意味?と言い切る前に、かなみはそう言って、呼び止める間もなく玄関から出て行ってしまった。
一瞬だけ冬の風が吹き込み、ガチャン、と音を立てて玄関が閉まる。
「あ、・・・・・・えっと」
俺は、次にどんな行動をすればいいのか分からず、寒さが少しだけ身にしみる玄関で、ただ再び立ち尽くすしかなかった。
・・・
・・・・・・
「・・・あー、お兄ちゃん、やっちゃったー」
「追いかけてやらんのか」
「しっ!覗き見なんてしないの!」
「人の事言えないでしょうに」
「・・・・・・」
日があけて、翌日。
俺はかなみの家から少し離れた場所で、彼女が現れるのを待っていた。
あたりから、チュンチュン、とスズメの鳴き声が聞こえてくる。
冬を越す為にまるく肥えたスズメは、公園の敷地内を元気に跳ね回って餌探しをしていた。
はぁ、と息を吐き出して空を見上げる。
空の所々には、薄い雲がいくつか浮かんでいて、冬風に押されて早めに流れていく。
いくら天気がよくても、今は冬だ。
空気が肌を刺し、白く息を染めて、おまけに指先まで冷たくする。
特に、朝方の今の時間はそれなりにくるものがある。
「・・・・・・」
腕時計を見ると、もうそろそろ待ち始めて、15分が経とうとしていた。
かなみはまだ現れない。
少し家を出るのが早かったのかもしれない。
昨日、かなみに、好き、と言われて、すごく嬉しかった。
そう、嬉しかった。
だから、俺もかなみに伝えなくてはならない。
「・・・・・・あ」
そうこうしているうちに、ガチャン、とドアが開く音がして、かなみが顔を出した。
いつものような感じで、学校に向かって歩いていく。
昨日の夜に見せたような、弱さは全く見えない。
よし、と自分に活を入れてから、かなみに走りよって、隣についた。
「おはよう、かなみ」
「た、タカシ」
声をかけると、かなみは驚いたような表情をした。
「めずらしいんじゃない?この時間に登校するなんて」
かなみに合わせたわけだから、5分そこそこ遅い事には違いない。
たいした違いではないとは思うのだけれど。
でも、今日はそんな事はどうでもいい。
ずっと言おうと思っていた事を切り出す。
「かなみに言っておこうと思って。・・・・・・昨日の事で」
「・・・」
「・・・」
「き、昨日の事?」
微妙な間の後、かなみそう言った。
少しばかり、かなみの頬が引きつったような気がする。
「ああ、昨日かなみが―」
「あ!チョコレートの事?どう?美味しかった?今後の為にも感想聞かせてもらえるとうれしいな」
かなみは、こっちの台詞を無理やり止めて、矢継ぎ早にそう言った。
話をそらそうとしているのが、あからさまに分かってしまう。
「その事じゃない」
「あ、でもちょっとビターすぎたかも。甘いほうがよかった?タカシ、ってビターって感じがするんだよね、なんとなく」
かなみは、ははは、と笑った。
いつもの笑顔なのだけれど、なぜか痛々しく感じてしまう。
「話そらすなよ」
「・・・そらしてなんかない」
「聞いて欲しいんだ」
俺がそう言うと、かなみは歩くのを止めて、俯いてしまった。
「・・・やだ・・・やだ聞きたくない。・・・聞きたくないよ、そんなの」
涙がぽろぽろとこぼれるのが見える。
また、また、泣かせてしまった。
「いや、いやだよ。何度も振られるなんて・・・」
「かなみ・・・」
もう、泣かせたくなかった。しかも、勘違いなんかで。
だから、気がつくと、かなみを抱きしめていた。
「た・・・タカシ?」
かなみの表情は見えないけれど、その声色から、きっと驚いているのだろうと思った。
通学、通勤ラッシュの道で、女の子を抱きしめているのだ。
視界に、近所のおばさんや、通学途中の生徒などが入ってくるが、この際そんな事はどうでもいい。些細な事だ。
次に言う言葉を想像すると、周りに意識など向けていられない。
「かなみ、好きだ」
かなみの耳元でささやく。
1年以上秘めてきた想いを。
「だから、昨日、本気で好きって言ってくれたなら、そんなに泣かないでほしい」
「た、タカシぃ」
かなみはそう言って俺の背中に腕を回すと、再び、ぐすぐす、と泣き始めてしまった。
「お、おい、泣くなよ」
「うん、ごめんね。ごめんね。私も、・・・私も好きだから」
それから、かなみと正式に付き合うことになった。
でも、クラスのみんなにはまだ内緒にしている。
そのうちにばれてしまうのは目に見えているけれど、少し落ち着くまで待っていよう、とかなみと話し合って決めた。
かなみに無理をしてまで友達との時間を割いてまで時間を作らなくていい、とも言ってある。
だから、あまり二人きりになる時間は無いけれど、それでも、たまには一緒にデートなんかしたりして、それなりに恋人気分を味わっている。
あと、かなみが玄関先で告白してくれた時、どうやら俺の両親と妹は一部始終、いや、終始観察していたらしく、
かなみが家に遊びに来るたび、いつもにやにやとした笑みを浮かべて、俺とかなみを突っつく。
勘弁してほしいけれど、そんなやり取りも悪くは無いな、思っている自分がいる。
END
――――――――――――
後書き
リファインしましたが、まだまだですね。
時間があったら、ちまちま改良していきたいと思います。
あと、内容の補足に関しては、「かなみが昼休みのとき騒いだ」以外、リファイン前の後書きと同じです。
ちなみに、昼休みに騒いでいなくても、どこかの休み時間で騒いでいるのでご安心を。
2007年3月6日 火曜日
二次電池
単三の乾電池というと、一般的にかなり使われており、公称電圧1.5Vと表記されています。
ですがが、実際は1.5V一定ではない事をご存知でしょうか。
乾電池の仕組みについては、ここでは置いておく事にして、
市販のアルカリ乾電池を購入して、テスタにかけてみると、1.6V程度の電圧があることが多いです。
そして、使用していくうちに電圧は徐々に低下し、物にはよりますが、1V近くになってくると大抵は電池残量が無い、と返してきます。
(※デジカメなどでは、1.2V〜1.3V程度で電池が無くなった、と判断される場合があります)
ちなみに、松下電器のオキシライド乾電池は、初期電圧が1.7Vほどもあるため、物によっては使用しないでください、と書いてある事があります。
電圧と電流の関係がいまひとつよく分からない方は、電圧を水圧、電流を水、と置き換え、水道管を想像してみると分かりやすいかもしれません。
そして、水道管の先には水車がついています。
水圧を上げれば、水車は勢いよく周り、逆に下げれば、回りづらくなります。
また、水道管の直径を大きくし、水を多く流せば、同じ水圧でも水車は勢いよく回ります。
さて、本題に入りますが、私はサイクルライトや、MP3プレーヤーなどにニッケル水素電池を用いています。
ニッケル水素電池というのは、リチャージブル、つまり再充電して使用できる電池で、
まあ、ようは充電電池というものなのですが、この乾電池には弱点があります。
それは、電圧が低い事と、自己放電が早い事です。
ニッケル水素電池の公称電圧は1.2Vと普通の使い捨て電池に比べると、公称で0.3Vほど低くい為、
初期電圧も1.3V程度しかありません。
その電圧の低さが足を引っ張り、電池自体には力が残っているのに、早めに電池残量警告が出て、電源が落ちることもあります。
また、懐中電灯などでも、電圧(つまり電流を押し出す力)が低いため、比較的早めに暗くなります。
自己放電も激しいため、充電して3ヶ月も放置しておくと、電池残量が半分になってたりして、
時計やリモコン、あまり使わない懐中電灯などとは相性が合うとはお世辞にもいえません。
ですが、数年前、サンヨーから新しいニッケル水素電池が発売されました。

(三洋電機のニッケル水素電池 エネループ)
CMで見た事があるかもしれませんが、この電池はもうすでに充電された状態で発売されます。
メモリー効果が少ない、1000回も使える、自己放電がしにくい、なども魅力ではあるのですが、
それ以上に私をひきつけるのは、電圧の高さです。
このニッケル水素電池は、公称電圧が1.2Vであるのにもかかわらず、初期電圧が1.5V近く出ており、
その後も、従来のニッケル水素電池に比べて、高めの電圧を維持します。
なので、電圧の低さのため、早めに電池交換せざる終えなかった機器でも、従来のニッケル水素電池より長持ちします。
私は、eneloopを買うまで、Hi-MDプレーヤーで、サンヨーのニッケル水素2500mAhタイプを使用していましが、
充電直後なのにもかかわらず、電池残量がフルに表示される事はありませんでした。
ようは、単三アルカリ乾電池推奨の機器に電圧の低いニッケル水素乾電池を入れたため、プレーヤーのほうが誤った残量を表示させてしまった為と思われます。
ですが、このeneloopに替えると、電池残量がフル表示に!
いや、まあ残量表示なんて、あまり気にする質ではないのですが、再生時間のほうも数時間延び、やはり新型だ、と納得する事ができました。
さて、このeneloopですが、家電量販店の電池コーナーに行くと、電池らしからぬ青一色のパッケージがかなり目を引きます。
このスタイルのよさで買う女の人もいるとか。
乾電池は、日本でさえ年23億本市場と言われ、何万トンと廃棄されています。
地球の資源は有限だと言われているにもかかわらず、あまりに想像しにくい規模の為、「そんなの先の事だ」と思ってしまう事はあると思います。
ですが、もし、身の回りを見渡してみて、よく乾電池を交換しているような品があれば、
ニッケル水素電池に交換してみては如何でしょうか。
たとえ、100回しか使わなかったとしても、いい結果になると思います。
コストについても、環境に関しても。
SSについて
少し、非現実なSSを書いたらどうなるのだろう、と考えてみたのですが、
なぜか、中世ヨーロッパのような異世界が浮かび上がってきました。
で、主人公とヒロインは、山へ術に使う薬草の類を探している途中、例の如く襲撃される。
「治安も悪くなったものだな。保安隊は何をしている」
目の前には、ティラノサウルスをちっこくしたかのような敵が数体いる。
体長は2mぐらいあるだろうか。
「冷静に判断しないでよ!それどころじゃないでしょっ!」
「かなみ、術は使えるか?」
「えーっと、・・・エイドとリンクぐらいしか」
「まだエイドとリンクしか会得してないのかよ!初歩じゃん!・・・でも、逆に安心した」
※エイド:基本的な回復術。
「ど、どういう意味よ!?・・・って、ちょっと囲まれてるよ」
気がつけば、周りをきれいに囲まれていた。
かなみと背中合わせになり、敵と対峙する。
全部で5体か。
距離が若干あるからいいものの、下手な動きをしたら、あっという間にあの爪で蹴倒され、食われるだろう。
「どういう意味かって?それはまた後でな」
「エ、エクスプロージョンは使ったら!?」
※エクスプロージョン:火系の全体術。ちゅどーん、といった感じで発動し、高温の火炎が放射状に広がる。
「馬鹿いえ!こんなところで発動したら、山火事になっちまうよ!」
「じゃ、じゃあどうするのよ〜(泣」
「分かってる!専門外だが、自然系を発動する」
「できるの!?」
「どうだろうな?・・・かなみ!とりあえずリンクを発動しろ。対象は俺。俺から力が逆流しないように一方向に制限をかけてな!」
※リンク:術を使うためのエネルギー(力)を共有するための術。素人でもエネルギー自体は潜在的に一定量あるので、非常時にエネルギー切れを起こした術士を助けるため、学校ではじめに習う術の一つだ。
「わ、わかった!」
かなみが、呪文を唱えて術を発動する。
俺とかなみの間を黄色い光が包み、次第に消えていく。
「リンクしたよ!」
「了解。エアコンプレッションを発動する。チャージ中に、エネルギーを目いっぱい送ってくれ」
※エアコンプレッション:自然系の術の一つ。空気を圧縮し、開放する事により風圧でダメージを与える。
「わ、分かった!」
「あと一つ」
「何?」
ちらっ、と背後をうかがう。
「離れるなよ」
「う、うん」
使い慣れない自然系術、呪文形態が火系とは全く違う。
意識を集中して呪文を唱える。
「・・・〜・・・〜〜・・・チャージ!」
空気圧縮開始。
かなみから、一気にエネルギーが流れ込む。
周囲を取り囲む敵の一部の前に、野球ボールぐらいの球が浮かび、周りの空気を吸収し、強い風があたりを包む。
断熱圧縮に伴う熱が輻射により球から発せられ、顔全体が熱くなってくる。
「・・・・・・ぐっ!圧が足りない!かなみ!もっと送ってくれ!」
「わ、分かってる!」
かなみも苦しそうだ、なんせかなりのエネルギーを奪ってるからな。
「・・・・・・ぐ・・・・・・っ」
もうちょっとだ、あと少し・・・・・・
「れ、レリーズ!!!」
球が一際明るく輝く。解放前の現象だ。
間もおかず、次の術を展開する。
「シールド!!」
そういった刹那、鼓膜を破かんばかりの、ダン!!という、ものすごい音とともに球が吹き飛んだ。
背後でかなみが、ひっ、と声を上げる。
爆風があたりを駆け抜け、展開したばかりの半透明なシールドに石や砂などが当たり、ガンゴン、と鈍い音を響かせる。
砂やなにやらでシールドの外はまったく確認できない。
2秒と経たないうちに、風はやみ、術の展開が終了した。
襲ってきた、ティラノサウルスをちっこくしたような奴らは、見事に消えていた。
吹き飛んだのか、逃げたのか。
「かなみ、おわったぞ」
背中にしがみついていたかなみに、そう問いかける。
「・・・疲れたよ」
「悪かったな。ちょっと加減が分からなかった」
かなみのエネルギーを奪った挙句、発動した術により、目の前には直径2mほどのクレーターが出来上がり、
近くにあった木を根こそぎ倒していた。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「なあ、かなみ。状態復元の術って覚えてない?」
まあ、なんというか、難しいものです。
2007年3月5日 月曜日
手直しー♪
前日UP分のSSに、ちょこちょこっと手直しを加えました。
それで、修正中にふと思ってしまったのが、「この書き方ではSSは無理!」
SSにするのであれば、もうちょっと単純明快な、
主人公「なあ、かなみ、今年はチョコくれないの?」
かなみ「わ、私は本命にしかチョコレートあげない事に決めたの!」
とか言いつつ、帰り際に主人公にチョコを渡すかなみ。
主人公「あれ?本命にしかチョコ渡さないんじゃ?」
かなみ「その、あ、あんたが本命よっ!」
と言って、走り去るかなみ。
といった感じのもののほうが書きやすいですね。
まあ、でも、バレンタインネタは妙に書きづらい・・・
2007年3月4日 日曜日
あさなぎSS Vol9 シチュエーション 「バレンタインとツンデレかなみ」
Vol9のSSですが、まさか、ここまで難産になるとは思いませんでした。
今まで書いてきた小説の中でも、この難産度はトップ3に間違いなく入ります。
しかも妙な不完全燃焼感が残ると言う結果に。
たったこれだけの文章に「10時間」以上かけるとは・・・異常であります。
さて、本文を読むに当たり、
タカシは、かなみの事が好きだが、友達としての関係を壊したくないと思っている。
かなみは、友達にタカシが好きな事が、ばれている。
そして、いつも「素直にならないと、嫌われちゃうよ?」助言されているが、素直になれないでいる。
という点を頭に置いておくと、話が分かりやすくなると思います。
――――――――――――――――――――
いつもと同じように登校し、教室に入るとどことなく普段と空気が違う気がした。
思わず、出入り口の所で足を止めてしまう。
「・・・」
ぱっと見、みんないつもと同じだ。
「・・・?」
とりたてて変化は無いと思う。
だが、こう、言葉では表現するのが難しいが、なんというのだろう、変な感じがする。
そう、この感覚を強いて言うなら、
「悪い予感」
ではなかろうか。
「悪い予感、ってなにさ?というかいつまでそこに突っ立ってるつもりよ?」
クラスメイトの山田からそう声をかけられて、我に返った。
どうやら、しばらく出入り口に突っ立っていたらしい。
「あっと、いや、ちょっとな」
だるそうな感じに席に座り、声をかけてきた山田の問いにそう答えながら、自分の席に座る。
「何が、ちょっとなー、だよ、朝っぱらから湿気た面しあがって、湿気りたいのはこっちだっての」
山田はそう言って、ぐだーっ、と机に突っ伏した。
「あー、なんかテストとかあったっけ?今日」
そう俺が言うと、山田はすたっ、と上体を起こした。
「無いよ!無いよ!ぜんぜん無いよ!微塵も無い!くそう、いっその事、今日なんて、今日なんて、休みだったら良かったのさ!!」
山田は一通りおおげさな動作をつけてそう騒ぐと、再び机に突っ伏した。
「おい、なんだってんだ。山田?」
「・・・」
「・・・除湿剤ほしいか?」
「・・・」
だめだ。まったく反応が無い。
すっかり陸に揚げられたクラゲのごとくなった山田を見つつ、今日は一体何があるんだ?と考えてみる。
テストか?いや、山田はそんなものはない、と騒いでいた。
休みだったらよかった、といっていたぐらいだから、奴にとっていい事が無いのは確かだが・・・
だめだ、さっぱり分からん。
「わからんなー」
腕を組み、背もたれによりかかってみる。
すると、背中をバシッ、と叩かれた。
「いでっ!」
「おはよー」
そして聞こえてくるいつもの声。振り返るまでも無く、背中を叩いた本人が姿を現れた。
「お、かなみか」
おはよう、と手を上げて返す。
「何?何かあったの?腕なんか組んで、難しそうな顔して」
声の主はクラスメイト、俺の前の席に陣取るのは、かなみだ。
活発で、単純明快タイプ。誰にでも好かれる身長161cmの女性。
まあ、クラスには必ずいる・・・という訳でもないだろうが、絶対に一度は見かけたりするタイプだ。
ちなみに、このかなみとは、ここの学園に入ってからずっと一緒のクラスで、なぜか知らないがいつも席は近く、席が替わるたびに、またあんたか、といったような顔つきをする。
まあ、いつも辛くあたられているような気はするが、嫌われている様子も無いので、よしとしている。
とまあ、そんな説明的説明はいいとして、いつものように席に着いたかなみについさっきまでの事を説明した。
「―という訳でな。今日一体何があるのかと考えていた訳」
そう言って、ちらっ、と山田に目を配る。
山田はまだ、陸に上げられたクラゲ状態になっていた。
いい加減に戻ってきてもいいと思う。
「タカシー、今日は2月14日よ」
「14日?建国記念の日なら11日だぞ?」
「・・・あのねー」
「なんだ?建国記念の日も知らないのか?」
「建国記念日ぐらい知ってるわよっ!そうじゃなくてー・・・」
「いや、ちなみに、"建国記念日"ではないぞ。建国記念の日」
「・・・」
「・・・」
「・・・はぁ」
顔を手で覆って、やたらと疲れたような顔をするかなみ。
「どうした?」
「バーカ」
かなみは俺のほうを一瞥すると、そう小さく言って友達のほうへ行ってしまった。
「・・・」
・・・
女の子の日か?
いやー、さすがにそれはないな。あるかもしれないが確実に今日というのはないだろう、きっと。
そんな事しばし考えていると、クラスメイトTが近くにきていた。
「どうした?」
「タカシよ」
「なんだ?T?」
「今日は、世間で言うバレンタインデー、だ」
肩をポン、と叩かれた。
「で、タカシよ」
昼、妙な雰囲気を肩に担いだまま、ちょうど俺が昼食を食べ終わるかといった頃、一足先に焼きそばパン、コロッケパン、ソーセージパン、プラスカフェオレを食べ終えた山田がそう切り出してきた。
「ん?」
「今年は何個ぐらいを予定している?」
「なんのこった?」
「チョコだよ、チョコレートだよ!ちなみに50円以下のチョコは含まないでな。お情けでもらっても嬉かないし」
というか、朝のあの状態になるほどこの話題がいやなはずなのに、なぜ話を振る?
「どうだろう?」
「ちなみに、俺は0個になるのを期待している」
「それはいつものことだろ?」
「違う!違う!俺のことじゃないっ!Taka-shiがもらうChocolateの数を言っているんだ!」
オーバーな身振りを付け加え、タカシとチョコレートのところだけ英語っぽい発音をする山田。
「唾飛ばすな。俺がもらえないのを期待すんな」
「タカシもあれか?チョコレイトもらいすぎて困るわぁ、っていうタイプか?それとも、ホワイトデーがめんどい!とかいうタイプか!?ちなみに俺は義理すらもらったこと無いから別にどっちでもないがね!!がっはっは!!ちっ、チョコレートブルジョアジーどもめ!」
聞いちゃいねぇ、この男。
「しょうがねぇなあ、ほれ、これやるよ」
そう言って、かばんの中から緊急栄養補給用のチョコレートを取り出して、山田に手渡す。
遅刻しそうで朝飯とか取れなかったときとか、体育で疲弊したとき食べる為に、いつもかばんの中に入っているチョコだ。
この前近くのスーパーで安売りしていたから、箱買いしたやつで、10個入って760円だった。安い安い。
「って、板チョコじゃねぇか!」
「そうだぞ。チョコレートの定番だぞ。美味しいぞ」
「味はどうでもいい!ただ!男から貰っても嬉しくないわいっ!」
分からなくは無いが。
「なんだ、いらんのか?」
「いや、貰う!」
ちなみにその後、昼休み中にクラスの女の子から3つほどチョコレートを頂いた。
同じ委員会、同じ部、かなみの友達、とどの子もよく話をする間柄だ。義理とは言わなかったが、おそらく義理でまちがいはないであろう。
山田は、俺がチョコを貰うたびに遠くのほうから殺気に近いような視線をこっちに送り、その後泣きそうな顔をして机に突っ伏す、という行為を繰り返していた。
山田、お前もいつかは報われるだろう、きっと。
そういえば、かなみはチョコをくれるだろうか。
放課後、担任に呼ばれていたので、職員室に顔を出した。
石油ファンヒーターがガンガン炊かれている職員室の中で、明日配る自習のプリントの事について、説明を受けた後、先生たちと下らない雑談を交わし、体が暖かさで満たされた頃を見計らい職員室を後にした。
「といっても、もう熱が逃げてしまった」
2月の半ばといっても、まだまだ冬。息が真っ白に染まり、空気が肌を刺す季節だ。
さらに北国ときたものだから、2階の職員室から昇降口に着く前に、職員室で取り込んだはずの熱が全部逃げてしまう。
寒い寒い思いながら、靴を履き替えて、校舎を後にする。
これだったら、日が沈む前に学校を後にしたほうが吉だっただろう。
「タカシ!」
昇降口を出たとたん、そう声がかかった。
「ん?」
振り返ると、昇降口前から、かなみがたったっ、と近づいてくる。
「かなみか。どうした?」
「ん?ちょっとね。今日は、もう家に帰るの?」
「ああ。今日は寄り道しないで帰ろうと思ってたけど?なんか冷えてきそうだし。かなみは?」
「うん。私もこれから帰ろうと思ってたところ」
「一緒に帰る?」
そう言うと、かなみはいつものように俺の隣につく。
少し歩き出して、ふと隣をみると、かなみの頬がいつもより赤く染まっている事に気がついた。
どうやらしばらくの間、外にいたらしい。
「なんでまた外にいたんだよ?」
「べ、別に。風に当たりたかっただけ」
かなみはこちらに視線を向けることなく、そう言った。
「そうかい」
かなみと県道沿いの脇道を取り留めの無い話をして歩く。
クラスメイトの話、部活の友達の話、先生の変な趣味の事などだ。
でも、今日という日にもかかわらず、チョコの話は意図的に避けていた。
一つ、「チョコは無いの?」と聞ければいいのに。
そうこうしているうちに、かなみの家についてしまう。
「また明日な」
「その、・・・・・・」
「どうした?」
「ううん、また明日!」
かなみはそう言って、玄関先で軽く手を振ると家の中へと消えていった。
これで、俺の任務は終了した訳だ。
あとは帰って、コタツでみかんでも食うか。
「さてと、帰ろ帰ろー」
寒くてたまらん。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・はぁ」
足を10歩ほど進めた所で、なぜかため息が出た。
なんだかなぁ。
いや、なぜか、では無い。
自分で、なんでため息が出るかぐらい分かっている。
14日という今日は、世間で言うバレンタインだ。
実際、3個もチョコを貰えたし、別に不満があるわけでもない。
でも、かなみからチョコを貰えなかったのは、意外だった。
去年は「義理だから!」と明言されて渡されたものだったが、それはそれで、嬉しかったし、今年もくれるかなぁ、と思ったらそうじゃなかった。
まあ確かに、クラスメイトTに言われるまで、今日がバレンタインと言う事に気がついていなかったのは悪いとしよう。
でもなぁ、友チョコという言葉があるこのご時勢に、その友チョコすらもらえない俺は一体なんなのだろう?
ついにかなみにとっての、”義理”の存在からも転落してしまったのか?
かなみの手作りチョコは美味しかったし、それにかなみの事も・・・
「いや、なんでもない」
ま、忘れよう。
たかがバレンタインだ。
それに、義理とはいえ、綺麗ににラッピングされたチョコ貰ったし、コーヒーでも飲みながら頂きますか。
「うー、寒っ」
ひゅぅ、と冬の風があたりを通り抜ける。
ふと、空を見上げると、雲ひとつ無い空に満月から少しかけた月が浮かんでいた。
放射冷却で冷えるだろうなぁ、今晩は。
夕食も食べ終え、居間のソファーで横になっていると、ピンポーン、とインターホンがなった。
出てくれる?との親に言われて、玄関に出る。
「はいはーい」
今の時間に来客とは珍しい。どちらさんだろうか。
親父は今、風呂に入っているから、仕事関係だと待ってもらう必要があるぞ。
そんな事を思いながら、ガチャッ、とドアを開けると、そこにいたのはなんと、かなみだった。
「か、かなみ!?」
「こんばんは」
意外もいいところだ。まさかかなみがやってくるとは・・・
「またこんな時間にどうした?宿題か?なら教えてやらんぞ?」
「違うわよっ!・・・・・・これ、渡しに来たの」
かなみは少しぶっきらぼうにそう言うと、俺に両手を出させて、その上に白い紙袋を乗せた。
ちょっとした重量感が両手にかかる。
これは?という顔でかなみを見る。
「ケーキよ。その、ケーキぐらい女なら焼けないと、と思ったから、その試作品」
「え?かなみが作ったの?」
紙袋の中を覗き込んでみる。
もちろん、ケースの中に入っているようで、外からは様子を見る事はできない。
でも、きっと料理好きなかなみが作ったものだ。出来はいいに違いない。
「もちろん。私特製!ありがたく思いなさいよ!」
「ああ、わざわざありがとな。・・・っと、上がってくか?お茶ぐらいなら出せるぞ」
そう言って、上がるのに邪魔にならないよう体を少し引いたが、かなみは顔を横に振った。
「ほら、時間が時間だし。お邪魔しても悪いから」
遠慮するなんて、なんてかなみらしくない。
「遠慮しなく―」
と言いかけたところで、少し考えた。
かなみを家に上げたら、さぞ向こうのご両親が心配するに違いない。
愛娘が知らない男のところに行って、予定の時間より遅れて帰ってくるのだ。
それに、時間が時間という事もある。
「―あ、いいや、一人で来たんだろ?送ってくか?」
「いいよ、そんな離れてないから」
かなみは胸元で小さく手を振って、否定した。
「そうか?」
「うん」
そんなに大きな街ではないとはいえ、何があるか分からないぞ。
「・・・」
「・・・・・・その、今日渡す事になったのはたまたまだからね!たとえ、バレンタインのだったとしても、義理だから!」
「分かってるよ。義理なんだろ」
熱心に否定するかなみの姿に、思わず苦笑いを浮かべてしまう。
ようは、義理ってことだ。
「絶対に本命なんかじゃないから!その義理・・・・・・」
そう言ったところで、かなみは急に俯き黙り込んでしまった。
「どうした?」
「ごめんなさい・・・その・・・」
「何がだよ?義理なのは分かったって」
ははは、と半ば乾いたような笑いがでた。
「・・・・・・違うの」
「・・・」
「・・・・・・・・」
冗談なんか言えないような空気が流れる。
かなみは俯いたままで、全く表情が読めない。
「・・・その・・・さっきのは嘘」
「嘘って?」
「・・・あのね・・・」
かなみがゆっくりと顔を上げる。
瞳が見た事無いぐらい揺らいでいた。
「・・・」
「・・・義理なんかじゃないからね。気持ちこめて作ったから・・・試作品なんかじゃないから・・・私、タカシの事大好きだからっ・・・!私の事嫌いにならないでね!・・・・・・・・・うぅ・・・うっ」
かなみはそう言うと、ぼろぼろと泣き出してしまった。
涙の雫が玄関のコンクリートにぽたぽたとシミを作る。
慌てて手に乗っかったままの紙袋を足元に置いてかなみに駆け寄る。
「お、おい。どうした?嫌いになるって・・・いつそんな事言ったよ?」
かなみは俯いていて、まったく表情が分からない。
そして、女の子に泣かれた俺は一体何をどうすればいいのか全く分からない。
それでも、無意識のうちに手がかなみの肩に伸びていた。
が、かなみはその手をするりと抜けて、あろうことか胸に抱きついてきた。
「や、やっと言えた・・・やっと言えたよ・・・!大好きって・・・!」
かなみが泣き止むまでの10分ぐらい、そのままで玄関で胸を貸していた。
その後、かなみは我に返ったようにいつもの笑顔を浮かべて、ごめんね、変なところ見せて、と言い呼び止める間もなく玄関から出て行ってしまった。
当事者でありながら、見事に置いていかれた俺は、その後状況が分かるまで、しばらく玄関の真ん中で立ち尽くしていた。
翌日、状況がやっと分かった俺は、かなみの家の前で感極まってかなみを抱きしめた。
さらにそれだけならまだしも、抱きしめ続けたままかなみの耳元で心内を打ち明けるという行為までしてしまった。
他の生徒に、間違いなく見られていたと思うと、恥ずかしくて仕方が無い。
おそらく、そのときかなみが泣きながらも見せた笑顔を忘れる事はできないだろうと思う。
それから、かなみと正式に付き合うことになったのだけれど、玄関先での一部始終を観察していた俺の両親と妹は、かなみが家に遊びに来るたび、にやにやとした笑みを浮かべて、俺とかなみを突っつくようになった。
勘弁してほしい事なのだけれど、それでもいいや、と思っている自分がいる。
END
――――――――――――――――――――
◆筆者あとがき◆
相当書き辛かったのですが、なぜ書きづらいのか全く不明なのがどうも・・・
あと、ノリ的には、昼食後の山田とのからみが一番いいと思います。
その際に、タカシが「妙な雰囲気を肩に担いだまま―」と説明していますが、
これは昼休み、タカシが山田の昼食買いの為、売店につき合わされている間、教室で、
かな友「ねぇねぇ、タカシ君にチョコあげるんでしょ?」
かなみ「な、なんであんな奴に!!あげなくちゃならないのよっ!」
かな友「はぁ」
かなみ「な、なによっ、わ、私は杉並先輩みたいな人のほうがタイプなんだからっ!タカシには興味ないの!」
かな友「またそんな事言って、嫌われても知らないよ」
というやり取りがあったからです。
つまり、そのやり取りを見ていたクラスメイト達の好奇心やなにやらの視線を受けていたため、タカシはそう思ったわけです。
あと、かなみが放課後、昇降口の外でタカシのところを待っていますが、
これは、かなみが隆に渡す予定のケーキは学校に持ってくる事が難しい為、
一緒に帰り、家の前でタカシに渡す、と計画していたからです。
ですが、かなみは最後の最後で、勇気が出ず頓挫してしまいました。
最後に、かなみがタカシ宅に押し入った経緯ですが、これはかなみがタカシにケーキを渡しそびれた後、
母親や、クラスの友達などに、「何やってるの?素直になったらいいじゃない!」とはっぱをかけられたからです。
んで、かなみが「本命なんかじゃなから、義理・・・」のところでいい止めたのは、言われたセリフを思い出したから。
なんか、主人公視点の限界を感じました、はい。
2007年3月1日 木曜日
みなさん
みなさん、あけまして3月でございます。
いや、なんというか、ついやってしまいました。
来月はやらないので安心してください。
それにしたって、もう3月ですよ。
あおーげばー♪
の季節ですよ。早っ!!!!早いよ!
ツンデレ
ツンデレとは?
みんなの前ではツンツンしているが、二人きりになるとデレデレする人を指す。
と、よく聞く説明ではありますが、
ちがーう!違うよ!違うよっ!
ゴホン。
で、私的な解釈といいますと、
「主人公に感情(例えば恋心)を抱いており、いちゃいちゃしたいが、(何かしらの理由で)ツンツンした(或いは冷めた)態度をとってしまう」人のこと
「主人公を気にしてしまうが、それがある種の感情(例えば恋心という事を)理解しておらず、ツンツンした(或いは冷めた)態度をとってしまう」人のこと
であります。
どちらかというと前者がツンデレの基本と言いますか、スタンダード、といった感じです。
後者だと、なかなかデレの部分が浮かんでこず、ツンデレなのか、ツンツンなのか分からなくなる場合があります。
まあ、どちらにも共通していることは、意識しているにしろしていないないにしろ、本心は対象人物に対し良い感情を抱いているという事です。
つまり、ツンデレとは、
「意識、無意識問わず、内心は対象人物に対し良い感情を抱いてはいるが、(さまざまな理由)でツンツンした態度をとってしまう人のこと」
でしょう。
一応、個人見解と言うことではありますがね。
と言うわけで、バレンタインな例をいくつか紹介しましょう。
ツンデレ 活発なクラスメイトタイプ
-------------------
「なあなあ、今年はチョコレートくれないの?」
「だ、誰があんたなんかに!」
「とか言いつつ、去年はくれたろ?」
「去年は去年よ!・・・で、でも誰からももらえないあんたがかわいそうだから、その・・・あげるわよっ!」
「ありがと!嬉しいよ」
「い、言っとくけど、義理よ義理!!勘違いしないでよね!」
-------------------
ツンデレ 物静かなタイプ
-------------------
「なあなあ、今年はチョコレートくれないの?」
「・・・あげない。タカシにあげるくらいなら自分で食べるわよ」
「とか言いつつ、去年はくれたろ?」
「去年は去年。今年は今年。・・・でも、タカシ誰からももらえそうにないから、あげるわ」
「ありがと!」
「義理、義理だからね。」
-------------------
おまけとして、最近クールデレ、というものも出てきています。
まあ、その名の通り、クールでデレデレするタイプののようですが。
例作るとすれば、
-------------------
「なあなあ、今年はチョコレートくれないの?」
「・・・あげるよ、もちろん。私、あなたの事好きだから」
「本当!?」
「嘘言ってどうするの、私があなたの事を好きなのは本当。だから、私のチョコレートを貰って」
「もちろん。ありがとね!」
「本命だから、味わって食べてね」
-------------------
とまあ、こんな感じでしょうか。
クールデレに関しては、あまり詳しくは分からないので、こんなのでいいのか、もっとクールにしたほうがいいのか・・・
それともそれとも、デレるときがクールなのか。
友人Sが残したもの
数日前、友人S氏が我が家にやってきました。
(というか、私が連れてきたのですが)
そのとき彼は、目ざとく我が家のホワイトボードを見つけ、歴代の友人と同じように落書きをしました。
んで、彼が書いたものは・・・

(彼が望むラジオ進行表)
らじおの進行表でした。
まあ、途中で私がちょっかいを出したせいもあるのですが、
なんて豪華な!
このキャストで、かつ、ゲストがSuaraさんと、浪川大輔さん。(輔が書ききれてない・・・)
大物ぞろいもいいところであります。
実現したら、一体どんなトークが繰り広げられるのか、まったく想像がつかない、という難点がありますが。
(静姉さんは、間違いなくSuaraさんの体を触りまくるでしょうがね。)
ちなみに、過去に私が洗脳した友人S氏ですが、私とはまた違った方向に進化していました。
あと、無線LANは暗号化したほうがいいと思います、はい。
どうやら、ダメらしい
最近、ようやく気がついた事があります、
最近の女性というのは、顔文字や絵文字がついたカラフルーな、メールでないとお気に召さない、という事実です。
しかも、文の雰囲気まで考えなければならない。
いまさら気づくな!という指摘はごもっともです。
ですが、私に、
(+_+)
な顔や
(^。^)
な顔や
(^_^.) (>_<) (T_T)
などの顔文字が合うとは思えなかったのです。
あと、絵文字についても、似たような感じでしょう。。
どちらかというと、普段から、「〜ねばならない」といった言葉遣いをする私にとって、そういったColorfulな絵文字や顔文字は無縁の存在だったのです。
顔文字や絵文字を含め、雰囲気、使う熟語なども改善しようと努力はしているのですが、
どうも、自分本来の姿と合わないような気がしてならない。
というか、絶対にあってない。
この私がですよ!
自分自身に虫唾が走るっ!
いっその事、社会にすべてを捧げられたらねぇ。こんな苦労もせんでいいのに。
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