2017年9月30日 土曜日

i-stop不動作騒動終結?

今回は、NDロードスターのi-stop不動作について記載したいと思います。

長文・乱文になってしまったので、結論を先に書きますと、
・バッテリーの補充電は、SOC値の判断を誤らせ、i-stopの動作に支障を生じさせるので、止めた方が良い。
・停車後、常時ON電源を使うと、SOC値の判断に支障が出る恐れがあるため、止めた方が良い。(電流によりけりか?)
という事です。
補充電の方法については、公式な方法を教えてもらいたいものです。


---以下本文---

さて、 我が家のNDロードスターは、私が通勤に自転車を使うことが多いことから、
多くて週1回、少ないと月に1回ぐらいしか運転していません。
そのため、冬場なんかは、i-stopがなかなか動作しません。
マツダコネクトの燃費モニターを見ても、成立条件であるバッテリーが×になってます。

単純に考えて、それぐらいの運転頻度だと、バッテリー残量が減っているため、
充電完了までの時間が掛かっている、と想像できます。

30日間放っておくと、
暗電流が20mAだと仮定して、
20mAh×24h×30日 = 14400mAh = 14.4Ah
の容量は減っている計算になります。
残容量はどのぐらいになるかというと、
i-stopを搭載したNDのバッテリータイプは、N-55(S)(電子取説より)で、
容量は、5h放電率で36Ahのようです。(SpecTankより)

5h放電率から計算するのはかなりの無茶ではありますが、
残容量は、
36Ah-14.4Ah = 21.6Ah
になります。
(5h放電率からの計算ですので、実際は、バッテリー容量の2/3〜3/4は残ると思います。)

と言うわけで、
i-stopの条件成立を早めるため、バッテリーの補充電を行いました。
これが、2015年の冬頃の話です。
1ヶ月ぐらい乗っていなかったNDに補充電をかけたのち、運転開始。
が、流れの良い郊外路を2時間運転しても、結局i-stopせず。
その後も、補充電を何度か繰り返したものの、i-stopがしなくなってしまいました。

さすがに何かおかしいだろうと、
NDを買ったディーラーに、i-stopがしないんだけど、と持って行くと、
「SOCが低下してたので、再学習させたところ直りました」
とのことでした。
SOCというのは、バッテリー残量の事です。

補充電してたのにSOCが低下?
謎が残りますが、直ったので良しとしました。

2016年4月には、福岡に異動になり、
駐車場と家の位置関係から、バッテリーの補充電もなかなか出来ない状況となったため、
最大出力7.5Wの太陽電池を使って、補充電を行うこととしました。
2016年の秋口あたりからは、気温の低下もあるのか、i-stopがなかなかかからなくなったため、
延長コードを購入し、補充電を行いましたが、2時間程度運転しようが、i-stopは全く動作せず。

ナンダコレ、という事で、再びディーラーへ。
これは2017年3月の話。
調べてもらって分かったのは、SOCが50%程度となっている、と言うことと、
電圧だけではバッテリー状態は分からないため、
補充電をするとともに、比重計を使って確認をしてもらいたい。
と助言をもらいました。

確かに、12Vの鉛蓄電池は、2Vセル×6個で、12Vとしている訳で、
個々のセルの状態を把握しなければ、充電が完了しているとは判断できませんので、
ディーラーの助言ももっともです。
と言うわけで、比重計を購入。
また、従来の充電器では、充電が上手くいっていなかったのでは?
という疑念もあり、併せてこんなものを買いました。



太陽電池用のチャージコントローラです。
浮動充電電圧も変更出来る優れものです。
入力端子には、AC/DCアダプターから18Vを印加します。

チャージコントローラを使い、補充電をして、
全てのセルにおいて比重を1.280にしたところで、再度i-stopするか試しましたが、
1時間程度の運転ではまったく動作せず。

ほほう。
1.280では足りないというのか。

という訳で、
さらに補充電をして、電圧は14.4V(充電直後)、比重を1.300にしました。過充電の領域です。
この状態で、再度i-stopするか試しましたが、これまた動作せず。
・・・どう考えても、SOCは100%でしょうに。
しかも、i-ELOOPも動作しない状態になってしまいました。
燃費モニターで見ても、お手製i-ELOOP電圧計で見ても、バッテリー電圧=EDLC電圧となり、チャージがされません。

どう考えても、ECUかi-ELOOPのDC/DCコンバータがおかしくなったとしか思えませんので、
再度ディーラーに調査をお願いしました。
これは、2017年4月の話。
今回は、数日間預けて調べてもらいました。

でその結果、ECU等には異常は無く、 電流がリークしてるのが原因であろう、とのことでした。
リーク先というのは、私が後付けした、
・常時ONヒューズから引っ張りだしたUSBチャージャー(12V最大1A程度)
・ENGINEヒューズ(エンジンON連動)から引っ張り出したEDLC電圧計用リレー(12V15mA程度)とドラレコ(12V400mA程度)
らしいです。
これらを引きはがして、補充電を行ったところ、i-stopもi-ELOOPも動作するようになった、とのことでした。
ちなみに、i-ELOOPが動作しなかったのは、、バッテリーの充電に電流を回したため、らしいです。
まあまあ、直ったので良しとしましょう。

ですが!
せっかく付けた、電装品が使えなくなるのは非常に勿体ないですし、
ディーラーの説明も腑に落ちないところもありましたので、今回の事象をもう一度考えてみました。

ディーラーでは、「電流がリークしており、それがSOC誤判断の原因」といった言い方をしていました。
が、ヒューズボックスから引っ張り出した電源のリークを判断できると言うことは、
バッテリー(A)のところと、最低でも、各ヒューズ(B、C、D、F、、、Z)の後に、電流計が必要な事になります。
A=(B+C+D+F+、、、Z)
の電流がイコールで成立しなければ、どこからかリークしているのが判断できますが、、、

この車は、それほど緻密に、電流を管理しているのか?
んなアホな。
車のヒューズはざっと数十はあり、試作品でもなく、実験機でもない、汎用品のこの車にそんな電流計を付けているのは、
コストから考えてあり得ないでしょう。
それに、こんな仕組みがあるとすれば、電装系の改造なんかほぼ出来なくなりますし、
インターネット上にも、沢山の回避策やら、トラブル事例が載っていることでしょうが、そんなことは無い。

であれば、何が原因か。
充電すれば充電するほど、状況が悪くなってしまったことから、
補充電がSOCの判断に何かしらの影響を与えているのでは?と思い至りました。

マツダ技報を調べてみると、
2010 マツダ技報 no.28「次世代バッテリマネジメント技術の開発」
に気になる記載がありました。

--
これまでは,SOC推定手法として満充電法を採用して
きた。満充電法とは,エンジンをKEYで始動した直後に
バッテリを満充電状態にしてSOCの初期値“SOC0”を取得
し,その後は,充放電電流の積算でSOCを推定する方法
である。
(中略)

上記のOCV法を使用し,成層化がある状態のバッテリ
でSOCを推定した結果,車両を停止してから1h経過すれ
ば,誤差2.5%以下のSOC推定精度を得られることがわ
かった(Fig.13)。これにより,OCV法が車両で十分に運
用可能であることがわかった。
(中略)
今回開発したOCV法により,高精度にSOCを推定でき
るようなった。これにより,オルタネータ減速回生とアイ
ドルストップの両立が可能となった。また,SOF推定,
SOH推定の精度向上により,アイドリングストップの信
頼性も向上できるようになった。今後は,本技術を次世代
の車に展開していく。
--

つまり、SOCの判断は、車両停止後に実施していることになります。
この論文の中では、その判断が停車後1H以降も行われているものなのか、運転中はSCOの判断をどうしているのか、記載がありませんでしたが、
・SOCの推定は、SOC値取得できたら終了する
・補充電中は、SOC値の推定が出来ない。
・運転中のSCO推定は、充放電電流の積算で求める
・補充電により、真のSOC値は100%を超える。(充電器での充電では、車両による充電より充電できる)
と仮定することで、
今回のi-stop不動作の現象について説明できます。

真SOC:真のSOC
認識SOC:ECUが認識しているSOC

◆パターン1 停車後に即補充電を実施する場合

運転終了 (真SOC 75%、認識SOC 80%)

ここでユーザー(私)が補充電を開始。認識SOCの測定を妨害。

認識SOCの判断不可のため、前回値を継承。

補充電終了 (真SOC 105%、認識SOC 80%)

運転開始

認識SOC値が低いため、バッテリーへの充電を行おうとするが、
バッテリー電圧は既に高く、追加での充電が出来ない。
そのため、 バッテリーからの放電が行われ、真SOC値100%へと向かう。
認識SOCは充放電電流の積算で算出されるため、認識SOCが低下し75%となる。

以下繰り返しで、SOC値が徐々に低下。

私の推測が正しければ、次のように認識SOC値を判断させてから、
補充電させれば問題ないような気がしますが、正直、試す気がしません。

◆パターン2 認識SOC値の判断後補充電をする場合

運転終了 (真SOC 75%、認識SOC 80%)

認識SOCの判断開始。
↓1H後
認識SOC値の取得完了(認識SOC75%)

ここでユーザー(私)が補充電を開始。

補充電終了 (真SOC 105%、認識SOC 75%)

運転開始

認識SOC値が低いため、バッテリーへの充電を行おうとするが、
バッテリー電圧は既に高く、追加での充電が出来ない。
そのため、 バッテリーからの放電が行われ、真SOC値100%へと向かう。
認識SOCは充放電電流の積算で算出されるため、認識SOCが低下し70%となる。

運転終了 (真SOC 100%、認識SOC 70%)

認識SOCの判断開始。
↓1H後
認識SOC値の取得完了(認識SOC100%)

ここでユーザー(私)が補充電を開始。

補充電終了 (真SOC 105%、認識SOC 100%)

運転開始

バッテリーからの放電が行われ、真SOC値100%へと向かう。
認識SOCは充放電電流の積算で算出されるため、認識SOCが低下し95%となる。

以下繰り返しで特に問題なし?


とまあ、長々と書きましたが、
これはあくまで推測で、SOC判断がいつどのように行われているかは不明です。
今回分かったのは、
・補充電は、i-stopの動作に支障を生じさせる。
・停車後、常時ON電源を使うと、SOC値の判断に支障が出そう。(電流が大きいと影響も大きそう)
という事です。

ちなみに、この推測をしてから、
・ENGINEヒューズ(エンジンON連動)から引っ張り出したEDLC電圧計用リレー(12V15mA程度)とドラレコ(12V400mA程度)
を復活させました。補充電は止めました。
それから、約半年経ちましたが、i-stopは正常に動作中です。

今回の事象は、マツダの第六世代商品群に共通して起こりうる現象だと思います。
NDロードスターの取説には、補充電の仕方については何も書いていませんし、
もっと具体的に、補充電をするときにはこう言うことに気をつけて、とか記載してもらいたいものです。


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