「Orbitron」 人工衛星追跡ソフト

2005/09/17

Satellite Tracking System

趣味でも暇つぶしにでも使えるのが、このOrbitron。
フリーで配布されているものですが、一体、何をするのか。
それは、「人工衛星の追跡表示」です。
さて、ソフトですが、かなり利用者を選びます。かなり地味です。
あさなぎのような物好きにはたまりませんが、一般ピーポーでしたら、あんまり面白いものではないでしょう。
ですが、ここは物好きのあさなぎが、実際に使ってみました。

参考:窓の社「地球を周回する120以上の人工衛星の位置や軌道を世界地図上に表示「Orbitron」

概要

 Orbitronは、地球を周回するかなりの数の人工衛星を世界地図上に表示できるソフ トです。
リストから、表示したい人工衛星を選択すると、選択された人工衛星は、パソコンの時計とリンクしリアルタイムで現在位置を表示してくれます。
一番のあさなぎが思う注目ポイントは、人工衛星が見える時間を予報することができること。
予報が出来るということは、ISSやイリジウム衛星などを確実に見れる可能性が高くなるからです。
また、スクリーンセーバーとしても動作できるので、オフィスなどで起動しておけば、興味を示してくれる人が結構いるのではないかと思います。ぜひお暇があればお試しあれ。(そして、報告お願いします)
人工衛星は、姿勢制御などやそのほかの影響で、微妙に位置がずれてくるので、同じデータは使えません。
ですが、このソフトは、アメリカ空軍などが公開する衛星軌道の最新データをインターネット経由でアップデートできるから、初心者でも、初心者じゃなくても、手軽で安心。

著作権者は、Sebastian Stoff氏
OSは、Windows 95/98/Me/2000/XP/Server 2003に対応。
また、カードウェアというシステムを採用していて、フリーソフトですが、気に入ったら風景画などのポストカードを送ってほしい。とのこと。送ったカードは、サイト上で公開される。人間味溢れるシステムで面白そうです。

インストール

インストールの手順はきわめて簡単。
ここにアクセスし、Downloadsという項目から、ダウンロード。
2MB程度の大きさなので、ブロードバンド回線なら、数分でダウンロードできるはずです。

落ちてきたファイルを起動し、インストールに使用する言語を「Japanese」にし、あとは手順どうりにインストール。
途中で、スクリーンセーバーをインストールするかどうかの項目があるので、インストールする場合には、チェックを入れておきましょう。

予報システム

この「Orbitron」ですが、実際天体観測に使おうと思っていても、なかなか時間が取れなかったり、天気が曇りだったりして、なかなか使える機会がありませんでした。
ところが、先日、ISSが真上を通る予報が出たので、実際に使えるのかどうか試してみました。


(Orbitron の夜間表示画面と、画面下の予報)


(Orbitoron の通常表示と ISSを最大可視仰角にもってきた例)


(レーダー表示もできる。南北東西は自由に動かせます)

今回のミッションのターゲットはかの有名な、ISS(International Space Station)。
というのも、高度はLEO(低軌道)約380km、大きさも相当あり、観測できる、というのは良く聞く話だから。
世界地図上を動いているISSを選択し、「予報」してみました。
(予報条件は仰角30度以上に指定しておきました。なんせ、山が邪魔なもので、そのぐらいからしか見れません)
予報によると、
09/17 19:02:27 に仰角30.3度に現れ、-0.6等星の明るさを持ち、
09/17 19:03:42 に最大仰角72.2度に達し、この時点で-1.9等星。そして、
09/17 19:04:09 に仰角56.7度で消えていくことになっています。
さて、実際にこのデータが使えるのか、否か。

観測ISS

ISS観測に使用した器具は、OrbitronをインストールしたノートPC、EOS-D30+18-35mmレンズ。コンパス、LEDライト。
日も沈み、暗くなってきた午後7時前、近所の広場に足を運び、芝生の上にノートPCと三脚付きのEOS-D30を展開。
周りには誰もいなく、手元にはノートPCとそれに接続したEOS-D30。下手をしたら職務質問されそうな状況ですが、まずはISSが優先。
ライトで、コンパスを照らし、Orbitronレーダーの方角を合わせ、カメラをそちらに向け、スタンバイ。
PCからのリモート撮影テストも済ませ、あとは高度約380KmをもったISSを待つだけ。

しばらくすると、ピロン、と音がなり、ISSが可視領域に入ったことを示すアラームがなりました。
来るか!?来るか!?
思わず、PCからカメラのレリーズを切って、"彼"が現れるのを待ちます。
カメラの設定は、露光時間30秒、F4.5、ISO100。
が、山のふもとの我が家と今いる公園は、仰角45度付近まで杉山が生い茂っています。
なので、まだ現れない。
カメラが1枚目の写真を撮り終わる。
が、次のシャッターが切れない!
「あ!」
そういえば、この機種、ノイズリダクションがかかる。
つまり、30秒バルブを開けば、+30秒のノイズ処理が必要であるということ。
それすなわち、30秒間何も出来ないということ。
それに、画像の転送も遅い遅い。
「だー!だー!早くせんかい!」
大声上げると近所の人が出てきそうなので、心の中で騒ぎつつ、「えーい、リモート接続なんかやってられるか〜!」
と、リモートプログラム終了。
すると直後、天空上にものすごい勢いで移動するISSが!
あ!と思い、とっさにシャッターを切る。
ISSは、スーー、と滑るように動き、真上付近を通り過ぎたあと、暗くなっていき、消えていきました。
「・・・」
正直、かなりすごかったです。
見慣れていればそうでもないんでしょうが、素早く動いていく人口天体は、ものすごくインパクトがありました。
ISSが消えていくのを見届けてから、D30の画像を確認したのですが、・・・・・・映ってない。
いくら、画角が1.6倍になるからと言って、18mmレンズで補足出来ないわけがない。
つまり、リモートコントロールのプログラムを切ってしまったことがいけなかったらしい。
カメラではまだ接続していると思って、ファイルを送信したが、プログラムは起動していないから、空回り、と。
ちゃんちゃん。

最後に

今回のテストで、このOrbitronがかなり使えることが分かりました。
多少、誤差はあるようですが、それでもかなりの精度です。
それにこのソフトでは、見えない人工衛星であってもそこにあることだけは分かるので、
例えば、IGS-1B(日本の光学偵察衛星)を表示させ、上空を通る時間を覚えておけば、
「そういえば、今の時間帯IGS-1Bが通っていくんだぜ」と自慢することも可能です。
また、表示している衛星を見ているだけでも、かなり面白いものがあります。
宇宙に、また、人工衛星に興味がある人は、インストールしてみる価値は大です。

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